当院が位置する埼玉県利根医療圏は、糖尿病領域において医療崩壊の危機に直面しています。平成20年度、当院は糖尿病地域医療を再生させるための拠点として「地域糖尿病センター」を設置しました。地域糖尿病センターとは、文字通り地域のための糖尿病センターです。糖尿病は慢性疾患の代表疾患です。患者数が多く、生涯にわたり治療が続くため、単に脳卒中や心筋梗塞のような急性疾患の『医療センター』のように医師を集約したり、高度な医療設備をそろえても地域医療で暮らす糖尿病を持つ方々に良好な医療サービスを提供する事はできません。
住民のみなさんは医療の消費者ではなく、この地域の『主(あるじ)』です。一方的に医療を消費する時代は終わりました。地域医療を再生していく為には、医療を病院や医者任せにせず、地域で暮らす住民全員が協力して問題を解決する主体となり、互いに話し合い、支え合いながら暮らしていく必要があります。
当センターでは、「住民を主体とした対話と支え合いによる地域医療と社会の再生」をミッション(指命)と位置づけております。
当センターでは、地域医療を支える人材の育成や技術移転、住民の医療教育とエンパワーメント、地域包括ケアシステムの構築、疾病管理システムの構築などを通じて、地域全体で糖尿病を持つ方々も、そうでない方々も互いに支え合いながら豊かに暮らしていく為のしくみを作って参ります。